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PRODUCT CONCEPT

驚きの口どけ。忘れられない香り。想像を超える掛け合わせ。心躍るデザイン性。
まだ誰も出会ったことのない商品を生み出し、驚きの体験を提供することにこだわりを持って私たちは「未知」のチョコレートを作り続けています。

《対談・前編》石原 紳伍 × 山口 周

山口周
(独立研究者、著作者)

1970年東京生まれ。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在は「人文科学と経営科学の交差点で知的成果を生み出す」をテーマに独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動。現在、株式会社ライプニッツ代表、一橋大学大学院経営管理研究科非常勤講師、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。著書に『ニュータイプの時代』『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『武器になる哲学』など。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻、同大学院文学研究科美学美術史学修士課程修了。神奈川県葉山町に在住。

高原に着いた僕たちに、これから必要になるもの

山口周さんはベストセラー「ニュータイプの時代」の中でこんな指摘をする。

「昨今のビジネス現場においては「予測=未来はどうなるか」という論点が議論されるばかりで、より重要な「構想=未来をどうしたいか」という論点はないがしろにされがちです」

 

5年前に鎌倉で産声をあげたメゾンカカオ(当時はca ca o)は、

創業時から「自分たちはどうあるべきか」を追求してきた数少ないメゾンである。

言い換えれば、「こんな未来にしたいから自分たちが存在している」という視点だ。

 

実体経済の長引く停滞、地震や気候変動などの自然災害、閉塞感のあるグローバル化社会、そして世界的なパンデミック……。未来を語りづらい現在にあって、道標的にいま最も著作が読まれている山口周さんと、未来志向型のメゾンカカオの石原紳伍社長が、日本の「今」と「これから」を深く切り込んで語り合う。

私たちはもう高原に着いている

石原:トークショーに先立ってメゾンカカオについてご説明させていただいたのですが、周さんはどんな印象を持たれましたか?

 

山口:お話を伺って嬉しかったですね。というのも僕は、ビジネスは基本的に歴史的な役割を終えたと思っているんですね。これは多くの経済学者も指摘していることなのですが、GDPはほとんど成長しなくなっています。労働生産性も上昇しない。幸福度のデータを見ると「物質的満足度」は先進国では大体90%です。もうみんなモノは要らないと思っている。成長しないとよく言いますが、成長しないのではなくて、もう先進国は「高原」に着いたということなんです。今はその高原でどういう社会をつくっていこうか、という時代になっていると思います。その高原での生活をどれだけ瑞々しく豊かにできるのかを考えようと。では高原で自分はどの係(仕事)をやるのか、となった時に、これまでのように道路や原発を造るんじゃなくなくて、皆が喜ぶ音楽や美味しい料理を作るなどすべては「文化」にかかわる仕事になると思うんです。

今日、メゾンカカオの資料を拝見して、もう会社そのものがもうアートになっている印象を持ちました。高原に至った社会において重要になるのは豊かさです。豊かさとは何かといえば「五感」だと思うんですね。そうすると先ほど言った音楽とか料理だとか耳や舌など身体が喜ぶことでビジネスを作っていかないと経済が回らないと思うんです。だってモノはもう要らないんですから。

日本の家電メーカーの財務諸表を見ればわかりますが、営業利益率が1%とか2%なんです。だから、この先どんどん潰れてしまうんじゃないかと思います。そういう状態のなかでメゾンカカオが掲げている「美味しいチョコレートのある生活」っていうのは、(チョコレートで)生活をどれだけ豊かにしていけるか、ということですよね。心が豊かになるものがほしいとなったとき、それは家の中にアート作品を置いたり、音楽をかけたり、ベランダで植栽をつくったりするのと同じような位置づけにチョコレートがあるということですよね。だからお話を伺って、とても嬉しかったんです。

100年続く世界ブランドになるには?

石原:ありがとうございます。今までチョコレートは生きていくために必須のものではない、という理解だったんですけれど、今のお話を伺っていると物資が溢れてきた現在では、逆に身体にいいこと、身体で感じることを傍(そば)に置こう、という発想であれば三度の食事でなくても、マインドフルネスの要素も含めてチョコレートの役割が出てきたのかなと感じました。

それから、我々は「100年ブランド」(100年続くブランド)を目指すという目標があるのですが、周さんの中で「世界ブランド」の定義って何かありますか?

 

山口:うーーん、それは「狙ってやれるのか」ということなんですけれど、それは結構チャレンジングだと思うんですよ。どういうことかと言うと「文明」と「文化」ってありますよね? 先ほど言った家電とかダムや道路を造るとかは全部文明なんです。世の中を便利で効率的で快適にします。文明の特徴はどこの国に持って行っても価値が出る。舗装道路は要らないって国はないですよね(笑)。だから冷蔵庫や洗濯機や自動車は大体どこの国に行っても似たようなものが売れる。そのためスケールが大きくなるからビジネスとしてはおいしい。文明は基本的に普遍的で、一方、文化は必ずしもそうじゃないですよね。たとえば食べ物は文化じゃないですか。でも関西の人で納豆苦手っていう方結構いらっしゃいますよね? 関東と関西ですでに普遍性がないわけです。もっと言えばイナゴとかね(笑)。

だから文化と文明の違いというのは、文明は普遍的な価値を持つので高効率で品質の良いものを作れば必ず世界ブランドになります。日本が世界で成功しているのはパナソニックもトヨタなど全部文明(のビジネスの会社)なんです。文化っていうのは、ある種のローカリティを持つものだし、ローカリティ色のない文化ってないと思うんです。僕らはエルメスに非常に「パリ的」なものを感じますよね。パリそのものだと思うし、アルマーニやベルサーチはやっぱり「イタリアだな」と思うわけです。そういう意味でいうと日本ってすごいプレミアムがついています。海外、とりわけフランス、イタリア、スペインなどは、文化や料理などに関して言うと、もの凄い神秘的なプレミアムを日本には感じているので、「日本発のもの」ってポテンシャルはあると思うんですね。

これからはデリバー・ワンダーが必要

石原:今回なぜ「世界ブランド」と「100年ブランド」を掲げたのかと言うと、パリで開催される「サロン・デュ・ショコラ」にチャレンジ(出展)した際、フランスの方々がメゾンカカオ(当時は「ca cao」)のチョコレートを召し上がった時の衝撃というか驚きの顔がすごく鮮明にあったからです。「これまで食べていたチョコレートはなかなか溶けづらかったのに、日本の新しいチョコレート(生チョコレート)は、冷たくてすぐに口の中に消えて、色んな香りがする。このテクスチャー(食感)はJAPAN QUALITYだ」と言っていただいたんです。

 

山口:「驚きの表情」というのは良い話だなぁ。結局文化的なモノで経済価値を産もうと思ったら「デリバー・ワンダー(驚きを提供する)」なんですよね。「ワオ!」って言わせることしかない。音がいいとか美味しいとか見た目が綺麗とかというのも、説明している段階ですでにダメというか……。もちろん意味的な価値も大事なんですが、やはり五感がディスティングリッシュ(違いが分かること)だと、味わった瞬間に、「これは他のものと全然違う」という「センス・オブ・ワンダー」(感性で驚きを感じる)をデリバリーできると本物だと思います。でも、すでに証明されているってことですよね。

 

石原:そこが一番自信というか、(世界に)チャレンジしたいと思ったきっかけですね。

 

山口:モーツアルトの音楽とかベートーベンもそうだと思いますし、ある種のアート作品が普遍性を持つのって、人間の持つ官能というのは、「文化はローカルである」と言いながら、一方で普遍性があるということだと思うんですね。ですから「100年ブランド」ということに関して言うと、「誰がどう味わっても美味しい」っていうのが鉄板なんだと思います。「これは全然今までのチョコレートと違う」という体験がまずあって、それが人伝てに広がっていき、別の人が食べて「確かに違う」ってなっていくと、やがてそこに意味的な価値がどんどん積み上がっていくわけです。あと先ほど「UNKNOWN」(メゾンカカオのバリュー)についてもご説明をいただきましたけれど、「デリバー・ワンダー」って結構難しくて、圧倒的に美味しいものでも、ずっと同じだと人間は飽きるという面倒くさいところがあって(笑)、いい意味での裏切りとか、「そうきたか」っていう体験をお客さんに与えてあげるといいのかなと思います。

「自分たちらしさ」は世界ブランドに共通

石原:ウチは商品開発面において、今キーワードとして出た「デリバー・ワンダー」というか圧倒的な美味しさなどをかなり意識して開発をしているのですが、デザイナー、販売マネージャー、製造者、衛生管理担当者、ときには物流担当者も一緒になって「売りたい」か「売りたくない」か、「自分たちらしい」か「らしくない」か、というのを議論します。

 

山口:それはとっても大事ですね。

 

石原:商品開発において、皆で話し合い、MAISON CACAOらしさを形にしていますが、それだけだと遊びがなくつまらないので、あえてMAISON CACAOらしさの境界線を引きすぎないようにしているんです。時には全然違う方面――例えばものすごくtraditionalなお菓子――からボールを投げ入れて、みんなで考察し、それを自分たちらしく表現するとは?を試してみることで新しい「らしさの価値づくり」ができてくるんです。他にこのような商品開発をしているところってありますかね?

 

山口:あまり聞かないですね。そのやり方自体はすごくいいと思います。ちなみにアルマーニのマニュアルって「Be ARMANI」なんです。「アルマーニっぽくあれ」ということですね。たとえば、どんなに親しく働くスタッフにも社長は自分のことを「ジョルジオ」と呼ばせない。「ミスター・アルマーニ」なんです。そこはある種のディシプリン(規律)のようなものがあって、割とクールで、色数が少なくてって…いう世界観が、オフィスだろうと店舗だろうと商品だろうと、働いている人のビヘイビア(行動、体動、品行)も含めてあるんです。先ほどもメゾンカカオのブランドコンセプトやイデオロギーをお伺いしましたが、製品開発以外の人たちも「自分たちらしいか」を議論するのはすごくいいと思います。

 

 

 

 

 

180年以上前にパリ9区で創業したエルメスは、高級馬具工房だった。主に貴族や軍事用の上質な革製品を製造していた。その後、100年前には初めてバッグにファスナーを付けて世界を驚かせ、財布、腕時計、香水、スカーフ、ネクタイと事業を広げていく。

気づくのは、その時代の「人々の生きかた」に寄り添い、新たに提案し続けたことだ。

おそらく避難や批判は少なくなかったに違いない。

それでも、彼らは創業時からの上質な製品づくりと「主役はあくまでも身に着けるお客様である」という信念は貫き通し、やがて名門としての伝統を築き上げた。

伝統を壊そうとする人がいるから伝統は続く。

「21世紀のエルメス」はまだ登場していない。

 

(次回に続く)

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