夕暮れ前のやわらかな太陽の光に包まれる湘南の海。にぎやかな家族の笑い声が潮風に乗って、砂浜に広がる。妻は「メゾンカカオ」社長室に勤務、夫は「メゾンカカオ」の姉妹ブランドである「チョコレートバンク」とレストラン「ロブ」のマネージャーを務めている。働く部署は異なるが、ともに「メゾンカカオ」の仲間だ。結婚を機に前職を辞めて、専業主婦として家事と育児に専念してきたが、2020年「メゾンカカオ」に入社。「主人が縁あって『メゾンカカオ』へジョインしました。
で、夢がある製品を作っていたり、生産者を大切にしていたり、コロンビアに学校を設立したり、他ではできないことをやっていると、いろいろな話を聞いているうちに、私も『メゾンカカオ』にすごくひかれて、それで働かせてもらうことに……」。社長室に勤務というとスケジュール管理などの秘書としての仕事が一般的だが、「メゾンカカオ」では異なる。「ひと言でいえば『メゾンカカオ』の輪をつなぐ仕事です」と語る。
「社長はチームづくりのために社内でたくさんのイベントを企画します。その準備や進行などの運営を担当します。社長は『どうしたら皆が楽しくその時間を過ごせるか』ということを一番大事にしているので、そのめざす景色にどれだけ近づけられるか。イベントの案内方法や当日の席順など細かいところまで必死に考えます」。その根底にあるのは、「メゾンカカオ」を担う仲間の一人一人へのリスペクトと感謝。現職に就き、個々をつなげて輪にして広げていくことの大切さを改めて感じるようになった。
また、社外に向けては「メゾンカカオ」を一緒に作り上げてくださる生産者、アーティストなど多岐にわたるパートナーとのていねいな関係作り。社内と社外を結びつけることも、輪をつなげることの一つなのだ。「とにかく無我夢中です。答えのない業務に取り組んでいる感覚です。ですが、イベントが終わった後に、みんなから楽しかったと言葉をもらえた時に良かったと達成感があります」。
二人の出会いは、ともに大好きなサーフィンが縁だった。夜明け前から一緒に海へ向かったり、サーフトリップをしたりと、実に仲がいい夫婦だ。だが、同じ職場で働いたことで関係に変化が訪れた。「夫婦で働くということは、最初すごく難しかったんです。シンプルに『楽しむ』ことができずに、悩んだこともありました」。だが、仕事に対する経験を深めていくと、長女からある言葉をかけられた。「ママ、すごく楽しそうだね」。そのひと言で、自分の心がポジティブになっていることに改めて気づいた。「同じ職場だからこそ、よりお互いに理解できることが増えていきました。ただ仕事をするだけではなくて、今は本当に同じ目標に向かって進んで行く同士として、主人といることがすごく楽しく、喜びに変わっています」。
さらに、長女からうれしい言葉が。「私も『メゾンカカオ』で働きたい」。長女は茅ヶ崎の「メゾンカカオファクトリー」で毎月開かれる「メゾンマルシェ」で募集する「子ども店長」を経験。最初は恥ずかしがっていたが、「どうしたらもっと買っていただけるか」とアイデアを出すまでに。「『メゾン』は『家族』という意味がありますが、家族でかかわらせてもらう機会がある会社はすごいなと思います」。家族みんなでメゾンカカオの輪につながる日がやってくるのは、遠くないかもしれない。
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